エノケンプロダクションの独立と「醉虎伝」以来エノケン主演映画50本記念を祝して製作される新東宝提携作品。原作は『サンデー毎日』八月の大衆文芸号に掲載されたサトウハチローの『青春野球手帖』で、製作はエノケンの懇望により、従来最もエノケン映画を手がけた滝村和男が担当し、「唄まつり百万両」の岸松雄と監督の渡辺邦男が協同で脚色、渡辺監督は「今日は踊って」「誰か夢なき」「あの夢この歌」の前作がある。劇中プロ野球の巨人軍(ジャイアンツ)対阪神軍(タイガース)の試合が随所に織り込まれ、ジャイアンツ軍は俳優と混然一体となって、この映画の劇構成上重要メンバーとなって総出演している。春山美禰子はエノケンプロの新人で、島和子は渡辺監督が「今日は踊って」で発見した子役である。