統一後のドイツを舞台に経済競争から脱落した西ドイツの食肉業者一家の、東ドイツから流入してくる人々に対する暴力的行動を通して、民主主義や国民国家の欺瞞、今なお生きているナチズム、スターリニズム、民主主義といった問題を容赦なく浮き彫りにした異色作。監督・脚本・撮影(フォクシ・ヴェーレンクラウと共同)はマスコミに“R・W・ファスビンダー以来のドイツ映画界の問題児”と称されたクリストフ・シュリンゲンズィーフ。本作は監督自ら「ドイツ三部作」と呼ぶ作品の一本。製作はクリスティアン・フュルスト。音楽はシュリンゲンズィーフ作品を数々手掛けているジャック・アルル。美術はウリ・ハニッシュ。編集はアリアーネ・トラウブ。出演は「奇跡の海」や多数のファスビンダー作品などで知られるウド・キアー(助監督も担当)ほか。96年ドイツ文化センターでのクリストフ・シュリンゲンズィーフ映画祭でも上映された。