身体やモノを通して言語化できない何かを追求している表現家・戸松美貴博を追ったドキュメンタリー。 「肉態」と称した独自の身体表現を35年以上続けている戸松美貴博は、「なぜ表現を続けているのか、自分でもわからない」と語り、自分自身への疑問を投げかける。ジャズピアニストの山下洋輔や文化人類学者の西江雅之、舞踏家の岩下徹ら、そうそうたる著名人とも交流があるが、それについても、なぜ自分が彼らとかかわることができているのか、自分でもよくわかっていない。そして25年以上にわたり精神医療や福祉に携わり、クリニックのプログラム講師なども務めているが、そのきっかけもたまたまだったという。 世界に新型コロナウイルスが蔓延し、人々の生活や常識が覆され、当たり前だったものが当たり前でなくなった日々の中で、ひとり表現を続ける戸松は何を思っていたのか。なぜ自分はここにいるのか、さまざまな疑問を抱えた戸松が答えを探して問答していく姿を通して、何が正しいのか見えづらい現代社会の中で、自分らしく生きるためのヒントを探っていく。