関東大震災直後の東京を記録した映像と、それを撮影した男たちのドキュメンタリー。 1923年9月1日、関東大震災が起こった。激震によって建物は次々と倒壊、火災により街は焦土と化し、10万人を超える死者を出した。後世、この大災害を記録した当時のフィルムが全国各地で見つかっているが、混乱を極めた東京を、誰が撮影したのか。その謎をたどった本作では、岩岡商会の岩岡巽、日活向島撮影所の高坂利光、東京シネマ商会の白井茂という3人のカメラマンの存在にたどりつく。彼らは誰に命令されたわけでもなく、夢中でカメラをまわした。それは、後の世に災害の記録を残さねばという使命感による行動だったが、非常時にカメラを回す彼らは時に避難者から罵倒を浴び、暴力にもあった。 3人のカメラマンは被災地をさまよいながら何を見たのか。そして残されたフィルムから何を知ることができるのか。音もないモノクロームのフィルムを通して、記録することの意味を問いかる。