1970年代から個人制作で唯一無二のスタイルを貫き続けるアメリカの実験映画作家ジェームズ・ベニングが、自身の暮らすカリフォルニア州の自然、歴史、産業を検証した「カリフォルニア・トリロジー」3部作の第1作。カリフォルニア中央部の広大な農業地帯セントラル・バレーの風景を政治性を込めながら描き、ベニング監督の代表作のひとつとなった。 全長700キロ、幅100キロに及び、アメリカ全土の1／4に食料を供給するセントラル・バレーの風景を、16ミリフィルム1リール分（2分30秒）を1ショットで固定撮影し、35個のショットで構成。映し出される殺風景な荒地は全て大企業の所有物であることが最後に明かされ、労働者の多くは移民であることが分かる。 特集上映「ジェイムズ・ベニング2023 アメリカ／時間／風景」（23年10月7～13日、シアター・イメージフォーラム）上映作品。