「愛のコリーダ」以来、活動の拠点を海外におく大島監督が、スタッフ・キャスト全員を外国人で製作した問題作。共同脚本をルイス・ブニュエル作品の脚本で有名なジャン・クロード・カリエールが、撮影をゴダール作品を数多く担当したラウル・クタールが担当している。チンパンジーと愛し合ってしまった人妻とその家族の生活を、実話にもとづいて描いた作品。幸せに見える家庭にヒトと動物の中間の猿という際どい座標を設けることで、夫婦間、家族間の隔たりを浮き彫りにする。