被爆後の長崎で焼け落ちた浦上天主堂に残るマリア像を人知れず運び出そうとする2人の女性を描いた人間ドラマ。1959年に発表され、第6回岸田演劇賞、第10回芸術選奨文部大臣賞を受賞した田中千禾夫の戯曲「マリアの首 幻に長崎を想う曲」を映画化した。1945年8月9日午前11時2分、長崎市に投下された2発目の原子力爆弾。その瞬間、人口24万人のうち約7万4000人の命が奪われた。東洋一の大聖堂とうたわれた浦上天主堂も被爆し、外壁の一部を残して崩壊した。それから12年の時が過ぎた昭和32年。カトリック信徒の鹿と忍を首謀者とする一味が、浦上天主堂跡から被爆したマリア像を盗み出した。彼女たちにはマリア像を盗み出す、ある理由があった。鹿役を高島礼子、忍役を黒谷友香がそれぞれ演じ、田辺誠一、金児憲史、村田雄浩、寺田農、柄本明、温水洋一らが脇を固める。監督は「ある町の高い煙突」の松村克弥。