cage

cage, 1970

7.6 1970.01.01上映
日本 日語 日本 61分
市役所の生真面目な公務員元宮が犯罪の臭いを嗅ぎ取り、妄想と紙一重の危うさで、女性を守ろうと素人探偵を演じはじめる。まず冒頭が素晴らしい。森の木々をなめるキャメラが重ねられるうちに、アイリス畫面になり、バードウォチングの公務員の視點へと導かれる。ここで、覗き見るという主題が提示され、やがて婚姻屆を出しにきた女性を監視するため、隣のマンションの屋上へと登るのである。そこから覗かれる彼女の部屋が何とも鳥籠のようであり、電話でのやり取りとあいまって、倒錯的な距離の意識にどきどきさせられる。寢たきりの実の娘の身代わりのような擬似的な父娘関係が進行していく。アメリカ映畫というより、フランス製ノワールに近しい感觸は、慄本慎介の持ち味なのだろう。濃密なサスペンスに酔わされる一篇である。
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