企業戦士として高度成長期を駆け抜けた男性と、認知症を発症した妻の日常を記録したドキュメンタリー。昭和14年、朝鮮で生まれた佐藤眞生(マオ)さん。終戦後、命からがら新潟へ帰還した彼は、大学卒業後に大阪で市場調査の会社を起業。その後東京へと進出し、調査・企画・計画推進の最前線に身を置いた。仕事に明け暮れる日々の中、気づくと家庭は崩壊寸前だった。息子の言葉で我に返ったマオさんは、大阪で自給自足の生活を始め、家族の絆を取り戻していく。やがて妻・縫子さんが認知症を発症。マオさんは縫子さんが入居する特別養護老人ホームに毎日通い続け、日々変化する彼女の言動を記録し続ける。それは調査屋としての矜持であり、苦労をかけてきた妻への想いでもあった。1組の夫婦の人生と余生を、ユーモアを交えながら描き出す。東京ドキュメンタリー映画祭2019でグランプリを受賞。