大坂・高槻市にある「JT生命誌研究館」の活動を伝えるドキュメンタリー。同館で行われた企画展示「食草園が誘(いざな)う昆虫と植物のかけひきの妙」にまつわる日々を、館員の目線からたどった。人間も含めた生きものたちの「生きている」様子を見つめ、そこから「どう生きるか」を探る「生命誌」を中心に、生命科学に関する展示や研究を行うJT生命誌研究館。同館の屋上には、チョウの成虫が蜜を吸う花と、幼虫が好んで葉を食べる植物(食草)を育てる「食草園」と呼ばれる小さな庭がある。そこには四季を通じてさまざまな虫たちが訪れ、植物と昆虫の関わり合いのドラマを繰り広げている。映画では、そんな生きものたちの観察を通して日常とは異なる世界を浮かび上がらせ、身近な小さな疑問を探っていくことで、さまざまな生き方への共感を生み出し、豊かな自然と、その一員としての人間の存在を描く。また、ファーブルの「昆虫記」の翻訳者・奥本大三郎氏と永田和宏館長、能楽囃子方大倉源次郎師(人間国宝)と中村桂子名誉館長との対話も収録され、生きものたちの間のかけひきの妙や、人と自然との営みが紡ぎ出す世界、そして日本の自然の豊かさなどが語られる。2015年に公開された「水と風と生きものと 中村桂子・生命誌を紡ぐ」に続く生命誌ドキュメンタリー第2弾。